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master of universe

半ドットはなぜ邪悪なのか


ドットタウンというサイトをご存知だろうか。 ドットタウンサイトの説明を引用する

DOTOWNは粗ドットをダウンロードできるサイトです。 粗ドットとは、可能な限り低い解像度を用い究極に抽象的な表現をしたドット絵を指します。 抽象化をしているにも関わらず情報が詰まっており、ゲームグラフィックにおける「逆進化(=究極の抽象化)」を遂げている粗ドットは、ちょっとヌケた雰囲気で「前田デザインっぽさ」を象徴してきたものであり、現在でも前田デザイン室のWEBサイトや入会ページ(Campfire コミュニティ)など至る所に粗ドットが登場します。

そう、「粗ドット」を売りにするドット絵素材配布サイトである。

しかし、このサイトが登場した当時、サイト内のドット絵に「半ドット」が使われるということで、ドット絵コミュニティで軽く燃えた話題になった。

今回は、ドット絵専門家でもなければドット絵が上手いわけでもないただのドット絵好きが、なぜ燃え話題になってしまったのかを、自分の視点で書いてみようと思う。

半ドットとは

ここでは、「絵を構成しているブロックの大きさの半分以下のサイズのブロック」を半ドットと呼びます。 つまり、「1px」より小さいドットのことを、半ドットと呼ぶことにします。

具体的には、このドット絵中央にある、白の周りより半分ほど小さいドットのことです mademoiselle notation

なぜ半ドットは邪悪なのか

そもそもドット絵の魅力とは

ドット絵にさほど興味のない人からすると、「こんなの誰が気にするんだよ」と思われるかもしれない。

しかし、ドット絵表現をやってる人からすると、これは一大事なんです。

そもそも、何がドット絵をドット絵たらしめるのでしょうか?

それは、主に解像度だと思います。

非常に小さい解像度のキャンパスの中で、絵を書く。これがドット絵だと言えるでしょう。

解像度があまりにも小さいので、表現できることも限られてきます。

小さいドット絵ほど、表現できることが減るため、難易度は上がってきます。

その制限の中で、いかにして表現を作るかが、ドット絵の醍醐味でしょう。

そのため、「粗どっと」なんていう極小レベルのドット絵は、狙ったものを書くのはかなり難しいわけです。

半ドットは半ドットではない

半ドットの説明をしましたが、実際にはドット絵において「半ドット」なんてものは存在しないと思っています。

今回定義したような半ドットは、それは半ドットではなく、周りのピクセルが2倍になっているのです。

最初に取り上げたドット絵の例を見てみましょう。

mademoiselle

半ドットの例として、真ん中の白の小さいドットが半ドットであると言いましたが、実際には

このピクセル以外が2pixelの大きさ

なんです。

半ドットを使った瞬間に、解像度は倍になる

つまり、半ドットというのは半ドットではなく、それこそが1pixelとなってしまうため、 半ドットを使った瞬間に、そのドット絵は解像度が2倍になっています。

半ドットが使われているドット絵を縮小することを考えてみましょう。 例えば、先ほど取り上げたドット絵の解像度は一見「8 x 9」のように見えますが、半ドットがあるため、実際には「16 x 18」だと思われます。

実際に16x18にしてみました。

(あまりにも小さいので、cssで拡大しています。本来の大きさで確かめたい場合は画像をクリックしてみてください)

画像の本体の大きさ以外は変わらないですね。

では、このドット絵の解像度をさらに半分に落とした場合、どうなるでしょうか?

はい、半ドットがあった箇所が変わってしまいました。つまり、「16x18」がやはり本当の解像度だったわけです。(自明ですが)

そして、半ドットがない箇所については変わっていない点も、「一見8x9の解像度に見える」を裏付けています。

なぜ話題になったのか

2倍の解像度を得ているため、公式の説明と照らし合わせると、これはもはや「粗ドット」のような解像度ではなく、「まあまあ粗いドット絵」の方になるでしょう。

公式サイトの説明にも

粗ドットとは、可能な限り低い解像度を用い究極に抽象的な表現をしたドット絵を指します。 抽象化をしているにも関わらず情報が詰まっており、…

とあるように、厳しい解像度の制約の中で、ドット絵は抽象化をどのようにするかが、腕の見せどろでありドット絵の見どころなんです。

ですから、解像度が倍増してドット絵の表現できるポテンシャルも大幅に増えているのにもかかわらず、「半ドット」の箇所以外はは解像度が低いままなので、もはやそれはクオリティが高いドット絵とは言えなくなってしまいます。

つまり、部分的に解像度を上げるなんてことは、ドット絵において一大事なわけです。

「粗ドット」という最小レベルのサイズを売りにするのであれば、この制約に対して真正面から取り組むことが期待されていたのに、半ドットを使って実質的な解像度を倍にしてしまっており、多数のドッターの反感を買ったのだと思います。

あまり責め立てるようなことは言いたくないですが、1/4の半ドットを使っているものもあり、私もこのサイトのドット絵の説明と実際のドット絵が一致していないように見えてしまいます。

最後に

以上、なぜ半ドットが邪悪なのか、私の見解が伝わったでしょうか。

再三、これはドット絵師やドット絵界隈の総意ではなく、私個人の意見であることを伝えておきたいと思います。